7.鞍馬口
名の通り鞍馬山の方へ行く街道の出口ですが,地下鉄に同じ名前の駅があります.このあたり古代に出雲族の集落があったと言われ,加茂川に架かる出雲路橋を渡ってから北に向かうので,出雲路口とも言われます.山陰の出雲の国は先史時代から大陸文化で開けた所ですから,そこから東進した人々が高い文化と共に京都盆地に拠点を作ったものと思われま
鞍馬街道
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す.鞍馬への街道はやがて叡山電鉄鞍馬線の二軒茶屋駅あたりで鞍馬川に出会い,そのまま上流へ進めば鞍馬の集落に入ります.電車の終点「くらま」は鞍馬寺の山門のすぐ前で,お参りに来た人々で結構賑わっていますが,これを過ぎて街道をさらに北の方に向かうと急に人の気配がなくなり,狭い谷合いの道に民家が並んでいます.立派な造りではありませんが,どの家も歴史を感じさせる風格があります.鞍馬寺には昔大勢の僧兵が住んでいましたが,制度が衰えた後も鞍馬を去らず,農業や林業で生き残ったと言います.鞍馬の伝統はこれらの人々の長い結束で支えられているようです.
鞍馬川は結構急流が多く,川底には大きな岩がゴロゴロしています.花崗閃緑岩と言われますが,鉄分が多く,酸化すると品のよい褐色を呈し,鞍馬石として庭石によく使われます.京都の名園にはよく見られるものです.以前はどんどん川原から持ち出しましたが,数が減ってきて現在は無許可で採石は出来ません.鞍馬寺の山門から街道を北に10分ほど歩くと,川に沿って「くらま温泉」があります.冷泉ですが天然硫黄泉で,能書きでは硫化水素を含むとあります.しかし殆ど硫化水素の臭いはなく,中性に近い水質です.もともとは名水が出ることで知られた場所で,街道を歩く人の息継ぎ場でした.現在は旅館になっていて,景色のよい露天風呂が名物になっていますが(入浴料1100円),鞍馬寺へお参りに行った方がここで精進落としをしているようです.
鞍馬街道はまだまだ奥が深くて,花背の村や広河原の集落があり,そこから更に北に進むと日本海側に出ますが,西の方に道を取ると丹波に
峰定寺本堂
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抜けられます.もっとも冬は雪が深くて通れません.しかし時候がよければ広河原の近くに大悲山(741m)という比叡山に近い高さの山があり,その麓に峰定寺(ぶじょうじ)という古刹があります.1115年三滝観空という熊野大峰山の修験者がここに来て開いた修験道の道場で,山容が大峰山と似ているところから北大峰と称されたそうです.鳥羽法皇の勅願寺となり,千手観音菩薩像が収められました.お堂は清水寺のような舞台造りですが,建造は清水寺より古く,かなり急な崖に取りついています.かつては大勢の修験者で栄えたそうですが,後年延暦寺と園城寺(三井寺)との管理権争いで寺運は衰え,建物だけが残りました.お参りされる方は京都バスの大悲山口で降り,案内板に従って30分ほど歩けば寺に到着します.岩を削った危ない階段が多いので,荷物は入り口の受付で預けますが,写真機や携帯電話も持込禁止です.境内の静寂を保つためでしょう.ただしお賽銭用の財布は持ち込んでもよいそうです.